六人の嘘つきな大学生
- あの就活で、嘘に殺された。
- 11.22 fri
- あの就活で、嘘に殺された。
製作:市川南 遠藤徹哉 共同製作:野村英章 弓矢政法 髙橋紀行 細野義朗 渡辺和則 渡辺章仁 川村龍夫 五十嵐淳之 企画・プロデュース:上田太地 椿宜和 プロデューサー:稲垣優 今安玲子 伊藤正昭
プロダクション統括:稲葉尚人 ラインプロデューサー:武石宏登 撮影:花村也寸志 照明:高井大樹 録音:金杉貴史 美術:金勝浩一 装飾:澤下和好
スクリプター:巻口恵美 衣裳:纐纈春樹 ヘアメイク:梅原さとこ VFXプロデューサー:赤羽智史 髙玉亮 編集:田口拓也 選曲:藤村義孝 音響効果:小林孝輔 助監督:佃謙介 製作:「六人の嘘つきな大学生」製作委員会
(東宝 KADOKAWA トライストーン・エンタテイメント ジェイアール東日本企画 KDDI S・D・P ソニー・ミュージックエンタテインメント ローソン ケイパーク ムービーウォーカー) 制作プロダクション:KADOKAWA 製作幹事:東宝 KADOKAWA 配給:東宝 ©2024 TOHO/KADOKAWA/Tristone/SDP/SME/K PARK
2021年に刊行されるやいなや様々なランキングを席巻、
現在までに累計65万部を突破している浅倉秋成による大ヒット小説
「六人の嘘つきな大学生」(角川文庫刊)。
就職活動を舞台に6人の登場人物の裏の顔が巧みに暴かれていく
“密室サスペンス”要素と、それぞれの暴かれた嘘と罪の真相を検証しながら
自らの人生と向き合っていく“青春ミステリー”要素を掛け合わせ、
圧倒的クオリティかつ怒涛の伏線回収で大人気を博している小説が実写映画化!
どんでん返しに次ぐどんでん返しに振り回されながら緊迫の会話劇に挑む「六人」は、
浜辺美波、赤楚衛二、佐野勇斗、山下美月、倉悠貴、西垣匠、
飛ぶ鳥を落とす勢いで活動の幅を広げる若手人気俳優陣!
監督は『キサラギ』(2007)で第50回ブルーリボン賞作品賞、
第31回日本アカデミー賞優秀作品賞・優秀監督賞、
第12回新藤兼人賞銀賞などを受賞し、その後も『ストロベリーナイト』(2013)、
『ういらぶ。』(2018)など多数の話題作を生み出した佐藤祐市。
更に脚本は劇団「東京マハロ」主宰、
ドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」で第35回向田邦子賞を受賞した矢島弘一!
密室で暴かれるそれぞれの「嘘と罪」とは!?
彼らの笑顔にあなたもきっと騙される。
誰もが憧れるエンタテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用。
最終選考まで勝ち残った6人の就活生に課せられたのは“6人でチームを作り上げ、
1か月後のグループディスカッションに臨むこと”だった。
全員での内定獲得を夢見て万全の準備で選考を迎えた6人だったが…急な課題の変更が通達される。
「勝ち残るのは1人だけ。その1人は皆さんで決めてください」
会議室という密室で、共に戦う仲間から1つの席を奪い合うライバルになった6人に
追い打ちをかけるかのように6通の怪しい封筒が発見される。その中の1通を開けると…
そして次々と暴かれていく、6人の嘘と罪。誰もが疑心暗鬼になる異様な空気の中、
1人の犯人と1人の合格者を出す形で最終選考は幕を閉じる。
悪夢の最終面接から8年が経ったある日、
スピラリンクスに1通の手紙が届くことである事実が発覚する。
犯人が残したその手紙には、「犯人、さんへ。」という告発めいた書き出しに続き、
あの日のすべてを覆す衝撃的な内容が記されていた。
残された5人は、真犯人の存在をあぶりだすため、再びあの密室に集結することに…
リクルートスーツで臨んでいた会議室での最終ディスカッションのシーンです。撮影期間も1週間くらいあって、ずっと会議室にこもりきりで毎日撮り進めていたので、かなり極限状態まで追い込まれるような撮影でした。正直、最終ディスカッションのシーンはほぼ記憶にないんです。嶌衣織としてもあまり喋らずに耐え忍んでいるという感じだったので、苦しいという印象が強いです。
6人そろってのシーンはスタジオが多かったのですが、控室がスタジオから少し離れたところにある部屋で、その中でずっと6人一緒に待機していたので、いろいろな話もできて仲良くなるのが早かったです。今思い出そうとしても何を話していたのか印象に残らないような話をしていました(笑)。年齢も近いですし、こんなにも協調性があって団体行動ができる人たちが集まることはなかなかないと思うので、このメンバーだったからこんなに穏やかに撮影期間を過ごせたのだと思います。最後まで楽しいという気持ちのまま撮影を終えることができました。
今作は原作もありますが、今回は脚本の中で役作りをさせていただきました。嶌さんのスピラリンクスに入りたいという気持ちはどこから湧いてくるのだろうかと最初は疑問が多かったので、自分の中で、「嶌さんは学生時代はどういう立ち位置にいたのか」とか、脚本にないところで作ってみたりもしたのですが、最終的には輪を乱すような人ではなく、どちらかというと協調性も高くてしっかりしている人だと思いました。6人でいても考えがまとまるまでは安易に口を開かない人というか。最初はあまり話すことはなかったけれど、どんどん打ち解けていって、少しずつ自分の意見を言うようになったり、感情が表に出るようになったりしたのではないかなと。
私は嶌さんのように考えがまとまってから話し始めるというよりは、待たせるのが苦手なのですぐ話し出してしまうと思います。そういう意味では似ているというよりは見習わないといけない、と思っています(笑)。
節々でたくさん助けていただいたという印象が強いです。衣装合わせの時に、見えないけれど嶌さんはネックレスを付けているとお話しされていて。それは思い出の品としてつけていて、スピラリンクスに入りたいという気持ちの根源であると。そうやって見えないところでアクセサリーをつけるとかは今まであまりなかった取り組みだったので覚えています。
何稿も重ねていくうちに結構話が変わっていって、自分の中では混乱した中での衣装合わせでした。予想がつかないことが多かったので、混乱した気持ちの中で座長という立場を務めさせていただいて、難しい部分もありました。年齢も一番年下で、きっともっと引き締めたりした方が良かったのかもしれないとは思うのですが、逆に協調性を乱さない方がいいのかなと思ったりもして、沢山いい悩みをした気がします。朝ドラで神木さんの隣で笑っていたところから、これから映画の世界で頑張ろうという新たなスタートを切れたような作品でした。
6人全員でこの作品をより良くしたい、原作を映画化するに相応しい作品にできるようにと実際に極限状態に追い込まれながら撮影をしました。今後どうブラッシュアップされるかはわからないですが、映画館で最後まで楽しんでいただける作品になったらいいなと思います。誰が嘘つきかを想像したり、一緒に追い詰められたり、6人の中の1人になったような気持ちで観ていただけるとうれしいです。
終えた今だからというのもあるかもしれませんが、物語の最初のファミレスでのシーンです。みんなそれぞれが初めましてで、打ち解けていない中で頑張ってコミュニケーションをとりながら話をしたりして。それこそ波多野のセリフにある月の表側しか見ていないようなシーンだったなと思います。
最初に袴田がブチ切れるシーンは印象的でした。あそこで一気に空気が変わったし、この物語の一番大事なところでもあると思います。袴田と矢代が空気を作ってくれたのが大きかったと思います。
凄くきつかったです。みんな仲が良かったはずなのに凄い目で見てくるんですよ。凄く悲しい気持ちになったしイラっともしました。それに嶌さんを助けなくちゃという想いが芽生えたりして、複雑な感情がありましたね。一言では表しきれないような感情でした。
僕だけ少し年齢が離れていますが、この1か月間でこんなに仲良くなるんだというくらい仲良くなれたと思います。映画の彼らも最終面接に選ばれて、1か月間過ごす中で仲良くなっていましたが、僕らも本当に同じだなと。撮影の合間はずっと喋っていましたね。みんな切り替えが上手な方たちだったので、安心してずっと話していましたし、凄くいい空気の中でやらせてもらっていました。この5人に出会えたことが嬉しくて、また一緒に仕事したいなと思いますし、これからも仲良くしていきたいなって思います。
そんなこと言ってくれているんですか? 嬉しいですね。いい空気でやりたいなというのもありましたし、僕が一番共演している人が多かったのでうまくつなげられたらなとは思っていたのですが、みんなが本当にいい子たちだったのですぐに打ち解けられていました。だから僕は何もやってないんですよ、みんなのおかげです。
仲間への想いと嶌さんへの想い、あとは引きで見つつバランスをとって調和を保とうとするというところを意識していました。
バランスを取ろうとしたり、もめごとが嫌いだったり、好きな人たちがいがみ合うところは見たくないという気持ちはよくわかりますね。でもあんなに機転を利かすことはできないと思うし、どちらかというと僕は袴田みたいになっちゃうかも…(笑)。その辺が大きく違うと思いますし、波多野って素敵だなって思います。
タイミングだったりテンション感だったりというのは合わせていきましたが、割と自由にやらせてくれました。あと、ここでは言えませんが、特殊なワードをよく使って演出されるので面白かったです。
ワンシチュエーションの中でそれぞれの心情の変化があったり、それぞれの視点で観ていくとまた違った楽しみ方ができたり、人を信じることの大切さもわかったりと新たな発見があると思うので、ぜひ何度でも楽しんでください。
色々ありますが、最初に出てくるファミレスでのシーンの時は役同様にみんなまだ緊張感もあったりして印象に残っています。みんなコミュニケーション能力が高い人たちなので、仲良くなれました。
1回全員で食事に行ったんです。そこで現場では見せないみんなのリラックスした表情が見えたりして、より仲良くなれました。今回は赤楚君が最年長なんですが、最年長っぽさを感じさせない方なんですよ。フランクな方だったので、その人柄にも救われましたね。
まっすぐな男だと思いました。正義感が強くて、劇中でも他人にも社会にも自分にも厳しすぎる人と言われていましたが、そういうところは少し僕と似ているなと思いました。普段はM!LKのメンバーにも自分に厳しいと言われるので、九賀の気持ちもわかるというか……。僕も決めたことや信じたことを捻じ曲げられると許せないと思うのでそこは似ているかもしれませんね。
まずはみなさん犯人が誰かというのを軸として観てくださると思いますが、結構いろんなところにヒントが隠されているので、考察ファンの方にはそういったところも楽しんでいただきたいですし、2回目は犯人がわかってから観ていただくので、犯人の表情だったり、お芝居も観ていただきたいですし、3回以上は純粋に観て楽しんでほしいですね。
撮影でも控室でも朝から晩までずっと6人で一緒にいたのですが、お芝居の話も沢山しましたし、より良いシーンを作るためにみんなで色々なアイディアを出し合ったりして、凄く勉強になり、たくさん刺激をもらいました。
本当に凄く仲が良くて、控室にみんなでお菓子を持ち寄って食べたりしていましたね。みんなオンとオフがはっきりしていて、この6人で集まって撮影できたことが幸せで、素敵なチームが作れたと思います。
会議室でのシーンが長かったのでずっとセットにこもってみんなで撮影をしていたのですが、西垣さんと私は最初からテンションがマックスになるようなシーンの撮影が多かったと言いますか、お互い怒鳴りあったり気持ちをぶつけあったりしていたので、あのセットの中でしか味わえないような緊張感がありました。今人生で一番怒っているんじゃないかなと思ったりもして(笑)。普段は全然怒らないので、「あぁ、自分ってこうやって怒るんだ」と(笑)。
浜辺さん演じる嶌さんと相反した感じが出せたらいいなと思いました。矢代は原作を読んでいても色々な表情を見せるキャラクターだと思ったので、シーンごとに雰囲気を変えたいなと。コミュニケーション能力にたけているし、人脈を広げてそこから得た情報を自分の知識にしたりしていて、器用な人間だなと思いますし、自分とは違う部分が多いので尊敬します。取り繕っている部分が多いと言いますか、自分を強く見せるためにガードを固くしている人という印象もありますが、私自身も初めましての方とお会いした時や、初めての現場の時には無意識に自分を作ってしまうことがあると思うので、矢代の気持ちもわかります。
監督とはクランクインの前に矢代の裏の部分や本心の核となる部分のお話しをさせていただいて、共通認識を持って現場に入ることができました。現場ではどのくらいのベクトルで進めるかとか細かい調整をしてくださって、毎シーン一人ずつのことを考えてくださっているなと思いました。
私自身が就職活動を経験していないので想像の中だったり、友達から聞いた話だったり、本から得た情報しかなかったんですけど、お芝居を通して就活生って凄く大変なんだなと思いました。まだ社会に出る前の学生の方たちがこんな壮絶な争いをしているんだと胃が痛くなりました…この作品だからこんなに壮絶なのかもしれませんが(笑)。
原作を読ませていただいた時に何回も騙されたし、何回も変わっていく情景が面白かったので、その作品をこの6人のキャストでどう実写化するのか考えていました。毎日みんなでたくさん考えて、戦い抜いたという言葉があてはまる作品だと思います。就職活動というものを通して、一人一人の人間性や、人間誰でも持っている裏表の顔を見ることができると思います。どうしても“裏の顔”というと黒い部分が見えがちですけど、白い部分もあるんだと感じることができるのではないでしょうか。作品の受け取り方は様々だと思いますが、ぜひ皆さんも騙されてみてください。
僕は犯人だとみんなから疑われてあたふたしてしまうシーンがあるんですけど、そこのシーンはもちろん大変でしたし、滑稽な部分を出したいという欲があったので頑張りました。あと軽いアクションといいますか、倒れたり胸倉をつかまれたりと物理的にぶつかるシーンもあったので、そこは口論のシーンとは違った雰囲気があって新鮮で楽しかったです。
皆さんに本当に仲良くしていただき、優しくしていただき、やりやすい雰囲気でやることができました。ご飯を食べに行ったりもして、よくしていただいてます。
無口で、眼鏡をかけているというビジュアルもあって頭がいい人なんだと思うんですけど、会議室のシーンではなかなか見せづらいので、前半でしっかりその部分が出せるようにと考えていました。そうすることで後々の滑稽な部分につながっていくと面白いと思っていたので凄く意識していましたね。あとは眼鏡の癖です。あまり物に頼ることができない環境なので、どこの部分を触るのかとか、その上でセリフの言い方をどうするのかとも考えていました。森久保と似ている部分は目が悪いところですかね(笑)。僕自身もコミュニケーションを取るのが苦手なのでその部分は似ていますね。あとは少し自信がなくて弱い人間な感じがしましたが、そこも似ているなと思いました。
2つありまして、1つは印象に残っているシーンでもお話しした物理的にぶつかり合うシーンで「水を持とうか」と提案してくださったんです。そこで水を持ったことによってこの映画ではちょっと珍しいダイナミックなシーンになったと思います。もう1つは、実際に度が入っている眼鏡を使っているのですが、あまりそういうことってないですよね。度が入っている眼鏡を使うことで、画角によっては反射があったり、顔の角度によっては目が小さくなったりと、本物を使っているからこそのそういう細かな面白さも気づいてもらえたら嬉しいです。芝居に関しては、本読みの時に森久保のキャラクターについてお話ししましたが、現場に入ってからはあまり演出はありませんでした。監督が大丈夫と言ってくれる言葉を信じながら演じていました。
この作品は一言では形容しがたい映画だと思うんです。ミステリー要素もあり、青春要素もあり、いろいろと考えるところもあると思うので、映画としてもエンターテインメント作品としても楽しんでもらえる作品ができていたらいいなと思います。
様々な伏線がちりばめられた何とも形容しがたい映画です。多くの方が経験したことがあるであろう就職活動をテーマにしているので、共感できるところもあれば、エンターテインメントとして楽しんでいただけるところも沢山ある作品だと思うので、気軽に劇場で観ていただけたらと思います。
袴田はずっと声が大きい人なので僕的にはずっと大変でした。森久保と取っ組み合いになるところとかは当日に水がかかるということが決まったりして、アクション担当の方にも来ていただきました。大変でしたが、迫力が出たと思います。あと、セリフなのですが、普段人には言わないような暴言をかなり発していたので不思議な感覚でした。そこはみんなには申し訳ないなと思いながら演じていました(笑)。
6人みんなが本当に仲が良くて、楽しんで撮影が出来ました。赤楚君だけは以前に別の作品でお会いしていましたが、ほかの皆さんは初めましてだったんですけど、仲良くなるのにそんなに時間もかからなかったです。助け合ったり、楽しい話をしたり、時には芝居について相談しあったりしながら、凄くいい関係の中で撮影を進めていくことができたと思います。
僕とは真逆のところにいる人間と言いますか、全然違ったので凄く難しかったです。身振りにしても声にしてもとにかく全部が大きい人だと思って演じていました。あとは良くも悪くもまっすぐな人だなと。すぐカッとなってしまうところもあるけれど、人が好きで、人のためを思って行動する人間なんだと思います。とにかく一番真っすぐで単純な人だと思うようにして演じていました。
監督は実際に演じて見せてくださる方でした。具体的な指示をいただけるので、僕はその期待にプラスアルファをして返していけるようにと思って演じていました。少しやりづらいところは見逃さずに聞いてくださるので相談しやすかったです。現場で実際にやってわからなくなった時に聞きに行っても絶対に対応してくださるような方でした。
僕の同期でも就職活動を経験したことがある人たちがいて、経験者の話を聞くとみんなものすごく追い詰められているんですよね。そういう人たちの悩みだったり、切羽詰まっていてどうしようもなくなっているような部分が凄く投影されていると思いました。
素晴らしいキャスト・スタッフの皆さんと監督に囲まれながら撮影出来て、素敵な作品に仕上がっていると思います。観ながらあの人が犯人かな? とか、どう伏線が回収されるのかな? とか、一緒に楽しめる作品になっていると思うので、ぜひ劇場まで足を運んでいただけると嬉しいです。
定価:814円(本体740円+税)
定価:748円(本体680円+税)
※『ヤングエース』で連載中
≪Profile≫
愛知県出身4人組バンド。愛称は“リョクシャカ”。
高校の同級生(長屋晴子・小林壱誓・peppe)と、小林の幼馴染・穴見真吾によって2012年結成。
「Mela!」(2020)がストリーミング再生数4億回、「サマータイムシンデレラ」(2023)・「花になって」(2023)が同1億回を突破するなど話題曲をコンスタントに発表。2022年には初の日本武道館公演、2023年~2024年にかけてアリーナツアーを成功させるなど躍進を続けている。
「NHK紅白歌合戦」2年連続出場(2022・2023)、第65回日本レコード大賞優秀作品賞受賞(2023/サマータイムシンデレラ)。
長屋晴子の透明かつ力強い歌声と、個性・ルーツの異なるメンバー全員が作曲に携わることにより生まれる楽曲のカラーバリエーション、ポップセンスにより、同世代の支持を多く集める。
2024年10月からライブハウスツアー「Laugh」を開催。
やっぱり人の裏表というか、人ってみんないろいろな側面があるんだというところにスポットが当たっているのがいいなと思いましたね。僕自身、そういう作品が好きですし、加えてそれぞれのキャラクターにストーリーがしっかりとある点にも惹かれました。ただ、6人全員の個性をちゃんと立てて描き出さないと面白くならないので、結構大変だな、と。でも、そこにチャレンジすることに面白さもあって、キャスティングはどうなるのか、どういうふうに撮っていこうか、ワクワクしながら原作を読んだ気がします。
密室での長い会話劇のオファーをいただきがちなんですよね(笑)。そう思っていただけるのはありがたくて。僕自身、密室劇は好きです。ミステリーということは演出においてことさら意識はしなかったです。脚本も原作もミステリーとしてすでに完成されていたので、下手に演出でサスペンスを強めたり、ミスリードを誘ったりしなくてもいいんじゃないかと思ったんですよ。そのときの状況に合ったお芝居をみんながちゃんとやって、お客さんに逆に深読みしてもらうほうがいいんじゃないかと思っていました。
美波ちゃんとは以前連続ドラマでご一緒していますが、撮影当時は14歳だったんです。その頃から存在感がありましたが、まだ硬さもあったんです。でも今や大きく成長されて、1言えば10、わかってくれます。求めていた以上のものを見事に表現してくれて、こちらとしては「あざーす!」って感じです(笑)。赤楚さんは本当に好青年で、彼を嫌う人っていないんじゃないですかね。それで言うと波多野の印象と重なるところもあって、いつも笑顔で、誰かを傷つけるようなことも絶対に言わないんですよ。佐野くんは、今、お芝居をやることが楽しくてたまらないんじゃないかな。すごく気力があって、自分からどんどんセリフの言い方や芝居での動き方を提案してきてくれて、いろいろ話しましたね。山下さんは赤楚くんと一緒でまったく裏がないんですよね。でも、ただいい子っていうだけじゃなくて、冗談で「本当は黒いこと考えているんでしょう!?」って振ると、わざとおどけてみせたりして (笑)。それがまた魅力的で面白いんですよね。倉くんもすごく芝居が楽しくて仕方がないという感じで、自分であれこれ試しながらやってくれていました。自分にはないキャラクターで大変だったと思いますが、迷いながらも楽しんでいるのがすごく伝わってきました。西垣くんはすごく一生懸命でしたね。その熱さや必死さが、袴田に合っていたと思います。西垣くんは、誰よりも仲間を第一に考えている袴田をうまく表現してくれました。
「スピラリンクスのロビーやオフィスはロケで、東京・日本橋の三井不動産さんを飾り付けて撮影させてもらっていますが、会議室はスタジオにセットを建て込んで撮影しました。やっぱり“六人”なので、6をモチーフにしてテーブルも六角形でいこうというのは最初から決めていましたね。重要だったのが、距離感。座って話すときの距離が遠過ぎても、近過ぎても気持ち悪いじゃないですか。まずはがらんどうのスタジオのフロアに線を引いて、テーブルの大きさを考えるところから始めました。その想定位置にスタッフに座ってもらって、美術部の金勝浩一さんをはじめとした皆さんや撮影監督の花村也寸志さんとあれこれ相談して。物理的にはこのくらいが良くても、画的には収まりが悪いというのもあって、そこは実際に画を通して見ながらでしたね。テーブルの大きさは最初2mくらい取っていたんですが、少し遠いということで最終的には1.7mくらいになりました。振り返ると、いろいろ試行錯誤しましたね(笑)。会議室とロビーやオフィスはまた全然雰囲気が違って感じられるかもしれないですが、スピラリンクスのテーマカラーをブルーにしていて、そのあたりは繋がっています」
佐藤直紀さんの音楽がすごくいいなと思いました。直紀さんの音楽によってお芝居の劇空間みたいなものがすごく際立って感じられたので、本当に助けられました。もう長いお付き合いで、大信頼しているので、役者さんが全部決まる前に直紀さんのスケジュールを押さえにいっていたんですよ(笑)。今回も「こういう話で、ほぼ密室劇だからお願いね」と言っただけで、「わかりました」ってあれだけのものを作ってくださって。きちんと気持ちに沿った音楽を付けていただいて、緊張感も煽られるので、ありがたかったです。僕、矢代の秘密が暴露されたときの曲がすごく好きなんです。直紀さんにも「あれ最高!」って言いましたが、ウォ~ンって音が流れるのがすごく気持ち悪くていいなと思って(笑)。それによって、またお芝居が違って見えてきますよね。